活動報告
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活動概要
東海臨床倫理研究会は「誰でも気軽に参加できる地域の研究会」を趣旨としており、日本臨床倫理学会の「臨床倫理登録病院・地域制度」に認定されています。
活動の発端は2009年5月に立ち上げた「東海救急看護研究会」です。救急看護師を中心に救急医療における倫理的問題について事例を通して学び、質の高い実践につなげることが目的でした。2014年3月までに14回の研究会を開催し、看護師や医師、救急救命士など延べ600人余の参加を得ました。その後、2014年4月に「東海臨床倫理研究会」と改称し、看護師、医師、コメディカル、社会福祉関連職種など様々な方々と認知症ケアや看取りなど一般臨床で生ずる倫理的問題について定期的に議論しています。
主な活動は事例検討であり、参加者から提供された事例を4分割表で議論し、考え方や対応策などを話し合います。年1回の研究会(定員50名)に加えて、2021年からは事例検討会(定員15名)を年に3回開催しています。参加者の勤務地は愛知県が中心ですが、コロナ禍ではオンラインで開催し、最近は対面とオンラインを併用して開催しているため、関東や北陸などからの参加者も増えています。日本臨床倫理学会年次大会のワークショップでも「倫理コンサルテーション」を企画し、全国の方々と倫理的課題のある事例について議論しています。
活動の発端は2009年5月に立ち上げた「東海救急看護研究会」です。救急看護師を中心に救急医療における倫理的問題について事例を通して学び、質の高い実践につなげることが目的でした。2014年3月までに14回の研究会を開催し、看護師や医師、救急救命士など延べ600人余の参加を得ました。その後、2014年4月に「東海臨床倫理研究会」と改称し、看護師、医師、コメディカル、社会福祉関連職種など様々な方々と認知症ケアや看取りなど一般臨床で生ずる倫理的問題について定期的に議論しています。
主な活動は事例検討であり、参加者から提供された事例を4分割表で議論し、考え方や対応策などを話し合います。年1回の研究会(定員50名)に加えて、2021年からは事例検討会(定員15名)を年に3回開催しています。参加者の勤務地は愛知県が中心ですが、コロナ禍ではオンラインで開催し、最近は対面とオンラインを併用して開催しているため、関東や北陸などからの参加者も増えています。日本臨床倫理学会年次大会のワークショップでも「倫理コンサルテーション」を企画し、全国の方々と倫理的課題のある事例について議論しています。


2014年7月5日 第1回研究会開催
臨床倫理学会での講演
日本臨床倫理学会第13回年次大会ランチョンセミナーで「地域と臨床-東海臨床倫理研究会の小さな挑戦-」を報告いたしました。ランチョンセミナー発表データ(PDF)
開催報告
臨床倫理学会第13回年次大会
2026年3月22日、日本臨床倫理学会第13回年次大会のワークショップで倫理コンサルテーションを行いました。
今回のテーマは「心肺停止から蘇生した患者の治療の差し控え」でした。
会場には90名を超える多職種の方々にお集まりいただき、関心の高さを実感しました。
心肺停止から蘇生し、わずかに反応が見られる患者に対し、本人の推定意思や家族の意向を理由に治療の差し控えや撤退ができるのか、現場ではどう考えどう対応するのかについて検討しました。
当日はその場で編成された即席のグループワーク形式でしたが、ご参加の皆様は初対面とは思えないほど活発に議論されていました。全体討議では各グループの議論内容を共有し、さらに法的な視点から整理すべきポイントについても学びを深めることができました。
本事例は以前の研究会でも議論したのですが、今回のワークショップでは新たなご意見や多角的な視点を多数いただくことができ、私たちも大きな学びを得る機会となりました。
今回のテーマは「心肺停止から蘇生した患者の治療の差し控え」でした。
会場には90名を超える多職種の方々にお集まりいただき、関心の高さを実感しました。
心肺停止から蘇生し、わずかに反応が見られる患者に対し、本人の推定意思や家族の意向を理由に治療の差し控えや撤退ができるのか、現場ではどう考えどう対応するのかについて検討しました。
当日はその場で編成された即席のグループワーク形式でしたが、ご参加の皆様は初対面とは思えないほど活発に議論されていました。全体討議では各グループの議論内容を共有し、さらに法的な視点から整理すべきポイントについても学びを深めることができました。
本事例は以前の研究会でも議論したのですが、今回のワークショップでは新たなご意見や多角的な視点を多数いただくことができ、私たちも大きな学びを得る機会となりました。
第15回事例検討会
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2026年2月18日(水)に第15回事例検討会を開催しました。今回のテーマは「過剰な治療請求をする家族」で、参加者は15名でした。
がんの終末期の妻にどんなことをしても生きていてほしいと治療を望む夫と、治療の限界を感じている医療スタッフの間の価値の対立が生じている事例でした。一見、クレームや過剰すぎる要求のようにも取れる家族の発言でしたが、夫の「妻を失いたくない」という気持ちに医療スタッフが寄り添おうとしつつも、夫の言動に医療スタッフが困り果て疲弊しているという解決困難な事例でした。「なぜ夫はそのような言動をするのか?」、妻と夫の関係性や今までの闘病生活を振り返り、夫の受容や予期悲嘆についても話し合いました。「この患者や家族にどのように介入すればいよかったか?」を検討しましたが、リエゾン精神看護の立場から、医療スタッフに対するチームコンサルテーションとしての関わりも必要であるとの意見もありました。「患者の真意とは何か?」「患者の意思をどのように反映するか?」なども検討しましたが、「患者家族と医療スタッフの間での信頼関係が築けていない中で、患者の意向について都合の良い解釈をしていないか?」などの意見があり、普段現場で働いている参加者にはハッと気付かされる事例検討会になりました。
がんの終末期の妻にどんなことをしても生きていてほしいと治療を望む夫と、治療の限界を感じている医療スタッフの間の価値の対立が生じている事例でした。一見、クレームや過剰すぎる要求のようにも取れる家族の発言でしたが、夫の「妻を失いたくない」という気持ちに医療スタッフが寄り添おうとしつつも、夫の言動に医療スタッフが困り果て疲弊しているという解決困難な事例でした。「なぜ夫はそのような言動をするのか?」、妻と夫の関係性や今までの闘病生活を振り返り、夫の受容や予期悲嘆についても話し合いました。「この患者や家族にどのように介入すればいよかったか?」を検討しましたが、リエゾン精神看護の立場から、医療スタッフに対するチームコンサルテーションとしての関わりも必要であるとの意見もありました。「患者の真意とは何か?」「患者の意思をどのように反映するか?」なども検討しましたが、「患者家族と医療スタッフの間での信頼関係が築けていない中で、患者の意向について都合の良い解釈をしていないか?」などの意見があり、普段現場で働いている参加者にはハッと気付かされる事例検討会になりました。
第14回事例検討会
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2025年11月26日に第14回事例検討会を開催しました。テーマは「宗教信仰者である患者の意向を尊重せず、家族の意向で輸血・手術を行った事例」で、参加者は14名でした。
善行(手術・輸血を行えば救命可能である)と自律尊重(輸血や透析を望まず、緩和医療を望む)が対立している状況でしたが、状態が悪化したため、信者ではない家族の強い希望で輸血を伴う手術が実施されました。この事例は、手術・輸血によって救命はできても元の生活に戻ることは難しく、輸血実施による患者の精神的・霊的苦悩は大きいと考えられました。家族も患者の意に反して手術を希望したことで、後悔が生じるかもしれません。このような患者・家族の苦悩を支えるしくみの必要性が話し合われました。また病院は、相対的無輸血を表明していました。患者の意向に従って輸血を実施せず、患者が亡くなった場合の法的責任についても学びました。
善行(手術・輸血を行えば救命可能である)と自律尊重(輸血や透析を望まず、緩和医療を望む)が対立している状況でしたが、状態が悪化したため、信者ではない家族の強い希望で輸血を伴う手術が実施されました。この事例は、手術・輸血によって救命はできても元の生活に戻ることは難しく、輸血実施による患者の精神的・霊的苦悩は大きいと考えられました。家族も患者の意に反して手術を希望したことで、後悔が生じるかもしれません。このような患者・家族の苦悩を支えるしくみの必要性が話し合われました。また病院は、相対的無輸血を表明していました。患者の意向に従って輸血を実施せず、患者が亡くなった場合の法的責任についても学びました。
研究会の開催実績
2014年から現在までに13回の研究会を開催しました。参加者数は延べ628名となりました。| 開催年月日 | 事例名 | 参加者数 | |
|---|---|---|---|
| 第13回 | 2025年6月25日 | 心肺停止から蘇生した患者の治療の差し控え | 36 |
| 第12回 | 2024年6月11日 | 血縁関係のない家族との間で治療方針決定に難渋した事例 | 41 |
| 第11回 | 2023年6月20日 | 重篤な外国籍患者の倫理的問題 | 39 |
| 第10回 | 2022年6月21日 | 脳腫瘍術後患者における気管切開の説明と理解について | 39 |
| 第9回 | 2021年6月22日 | 遷延性意識障害患者の気管切開に対する倫理的視点 | 47 |
| 第8回 | 2020年6月23日 | 新型コロナウィルス感染症事例に対する臨床倫理的視点 | 49 |
| 第7回 | 2019年6月18日 | 自殺企図患者の治療方針決定場面での倫理的問題 | 54 |
| 第6回 | 2018年5月29日 | 超高齢者における集中治療と緩和医療 | 64 |
| 第5回 | 2017年6月27日 | 高齢認知症患者の手術に対する意思決定 | 79 |
| 第4回 | 2016年5月31日 | 列車との衝突によって救急搬送された統合失調症患者への対応と倫理問題 | 61 |
| 第3回 | 2016年2月14日 | 認知症の人の法・倫理問題 | 24 |
| 第2回 | 2015年6月2日 | 縦隔腫瘍に対する緊急手術を必要とする妊婦の意思決定支援 | 47 |
| 第1回 | 2014年7月5日 | 護っていますか? 救急場面での子どもの人権 | 48 |
参加者の職種


事例検討会の開催実績
2021年から現在までに15回の事例検討会を開催しました。参加者数は延べ230名となりました。| 開催年月日 | 事例名 | 参加者数 | |
|---|---|---|---|
| 第15回 | 2026年2月18日 | 過剰な治療請求をする家族 | 15 |
| 第14回 | 2025年11月26日 | 宗教信仰者である患者の意向を尊重せず、家族の意向で輸血・手術を行った事例 | 14 |
| 第13回 | 2025年8月27日 | 先天性他系疾患の乳幼児への気管切開術の両親同意拒否 | 17 |
| 第12回 | 2025年2月10日 | 母親不同意の未成年妊娠・出産事例 | 10 |
| 第11回 | 2024年11月6日 | ガン告知後に自殺し、命を取り留めた患者のガン治療の是非 | 9 |
| 第10回 | 2024年8月2日 | 精神疾患より意思決定能力が低下した患者が医療行為を明示的に拒否し難渋した事例 | 14 |
| 第9回 | 2024年2月19日 | 超高齢患者の治療選択(本人と家族の意向の相違) | 16 |
| 第8回 | 2023年10月31日 | 緩和的抜管を含む治療撤退の申し入れをうけた低酸素脳症の一例 | 16 |
| 第7回 | 2023年7月11日 | 未届け高齢者施設居住の誤嚥性肺炎・多発褥瘡患者の退院先選定 | 17 |
| 第6回 | 2023年2月22日 | 家族と疎遠かつ知的障害を有する患者の治療決定プロセス | 16 |
| 第5回 | 2022年12月2日 | 妄想性障害があり、入院中の治療拒否はあるが、急変時は心肺蘇生を希望する患者の支援 | 17 |
| 第4回 | 2022年9月9日 | 慢性心不全末期患者の心臓移植に関して、本人の意向と家族の意見が対立した事例 | 20 |
| 第3回 | 2022年5月20日 | 妊娠8週で辺縁系脳炎を発症した患者の妊娠中絶術の可否 | 18 |
| 第2回 | 2022年2月18日 | ALSの急激な進行により呼吸不全をきたした患者の意思決定支援 | 13 |
| 第1回 | 2021年10月15日 | 本人の希望(事前意思表明書の内容)と医師の判断との間に相違があると感じた事例 | 18 |
参加者の職種
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メンバー
東海臨床倫理研究会
| 世話人 | 明石惠子、澤田美和、丸谷幸子、若山朋代、勝浪優子、竹内美千代 |
|---|---|
| 顧 問 | 稲葉一人 |
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